電子書籍は普及するか?

メディアのデジタル化は、パソコンやスマートホンなどの普及に伴って、必須の環境になりつつあります。しかし、従来のメディア環境を維持したい勢力によって、普及が制限される状況が続いています。例えば、音楽メディアですが、レコード盤がデジタルデータのCDに変わったときも、コピーを防ぐための様々なルールのために抵抗がありました。今は、そのCDも売れ行きが落ちて、インターネットでの配信というダウンロード販売が多くなっています。「デジタルデータは完全なコピーが作れる」という理由で、著作権を保護したい業界がブレーキを踏みますが、本当にそうでしょうか?
レコード盤は、マスターと比べれば音質が落ちたものを、針で引っかいて音を出すので、それをコピーされても安心というのが理由でした。CD版はデジタルデータなので劣化が無いから、コピーされては困ると考えたのです。しかし、デジタル化する際に制御可能な品質劣化は起こります。ビットレートを落とせば、劣化するのです。再生側がどんなに頑張っても、劣化した音質は戻せません。レコード盤時代のオーディオマニアが激減した理由がそこにあります。デジタルデータは、もともとオリジナルよりは品質は落ちるのです。ただ、コピーを作れば、永久にその品質で残せるというメリットはあります。
テレビも遂にデジタル化されました。地デジ化で買いかえなくてはならなくなったのは、テレビだけでなく録画機もそうです。この録画システムも、保護のため大きく変わっています。録画したものを、他人に紹介はできません。外に出すには制限がかかっています。自分だけで見るにしても、別の環境で録画したものを再生することは、簡単にはできなくなりました。
こうした中で、電子書籍というものが出始めています。出版会という最も保守的な世界が、重い腰を上げて、デジタル化した書籍をパソコンなどの端末で見られるように販売しています。Win坊は、これが普及するとは、とても思えません。書類自体を電子化するのは普及していくでしょう。しかし、著作権で保護された本を電子化することは、どうでしょうか。勿論コピーできないようにしてありますし、実はデータは画像なので、文字を一部コピーすることも出来なくなっています。紙でない媒体で、文学作品を読むニーズがそんなにあるとは思えません。文字よりも画像がメインになっている漫画くらいでしょう。ipadなどの端末で、最も多く読まれるのが漫画の電子書籍だそうです。これなら、電車の中で読んでも格好良いかもしれませんが。しかし、デジタルの画像なら、静止画である必要は無いと思います。
ipadなどの端末の環境が整ったので、本を買って、これを自分のために電子化する人も増えています。これには、本をばらばらにしてスキャナーで読み込み、特別なソフトで変換することが必要なので、時間もコストもかかります。これを代行する「自炊」というサービスがあるそうです。これについて、さっそく出版界が反応しました。自分で買った本を自分がスキャンするのはしかたないとしても、これを仕事として代行することは許せないと訴えています。
もともと他人の著作物を、「出版」という形で世に出してやることで権威をかざし、「再販禁止」という法律で価格を統制してきた出版界にとって、電子書籍は大きな障害なのです。出版・配本というシステムを壊さない限り、電子書籍は普及しません。新聞・雑誌・書籍の世界が電子化するとしたら、犠牲の大きい革命を起こさないと進まないでしょう。紙と同じくらい薄いディスプレーもできています。これが普及すれば、森林破壊をしない出版が可能になるのですが。

コメントする